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[ 文庫 ]
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暗号解読〈上〉 (新潮文庫)
・サイモン シン
【新潮社】
発売日: 2007-06
参考価格: 620 円(税込)
販売価格: 620 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 178円〜
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・サイモン シン ・Simon Singh
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カスタマー平均評価: 5
暗号の歴史をドラマチックに 暗号の歴史がドラマチックに書かかれている。
暗号に興味がなくても、面白く読めると思います。
暗号とはこんなにも奥深いものだったのか 歴史のさまざまな場面で決定的な役割を果たし、現代情報化社会の根幹を支えている暗号技術とその解読について、詳細かつ非常に分かりやすく書かれています。
内容の詳しい紹介は他のレビューに譲りますが、今まで関心のなかった事柄が一冊の本をきっかけに、二度と無関心ではいられなくなるそんな体験ができる一冊です。
サイモン・シンの他の著作を読んだ人はおそらく本書も読むでしょうが、まだサイモン・シンを知らない人は是非読んでみて下さい。
暗号の時代は 実は今なのだ 「フェルマーの最終定理」が面白かったので 本書を自然に手にとる機会を得た。相変わらず 科学を小説のように語る著者の語り口は健在であり ぐいぐい読ませる。科学に必要なのは こういう「語り部」なのであろうと感心させられた。
読んでいて一番感じたのは 現代こそが暗号の時代であるという点だ。
本書の通り 暗号は 主に戦争で必要とされてきた。言葉通り「武器」の一つとしての暗号という時代が長く 本書が取り上げる暗号の歴史は 戦争の歴史となっている。実際 本書で取り上げている暗号の歴史を見ていると 人間が戦争を「情報戦争」にしていった様がはっきりとしており 大変勉強になった。
その上で 21世紀の現代こそが「暗号の時代」であると言いたい。
考えていると いつのまにか僕らは「パスワード」という暗号を日常で使う日々となっている。ネットを通じた「仮想空間」へのアクセスには 自分で決めた「暗号」であるパスワードが不可欠であるし アクセス中のやりとりもすべて「暗号化」されている。僕らはそんな「暗号」が無ければ 日常生活にすら支障を欠く程になってしまっているのではないだろうか。
「暗号」とは 自分がやりとりする個人情報が 「他人の目や耳にふれるルート」をたどる際に必要なのだと思う。
ということは 現代の特徴とは「他人の目や耳にふれるルート」の飛躍的な増大にあるのではないかということだ。その代表格であるインターネットの社会のインフラ化こそが 暗号の需要の最大原因だと僕は思う。
昔は(そうして今もだが)「親展」とスタンプの押してある封書は 受取人以外には開かなかったものだ。ある意味で これは人間のモラルが健全に機能してきた証左だと思うのだが 今 ネット世界で見えてくる人間のグロテスクな一面は そんなモラルを否定している。
匿名という隠れ蓑があれば(そうしてそんな隠れ蓑も暗号で担保されているわけだが)人は「親展」と書いてある封書も平気で明けるようになった。なぜなら 自分が開けたと誰にも分らないから。
そうなると 「親展」のスタンプも 暗号がなければ開けないスタンプにしなくてはならないし さらに封書の中身も暗号にしなくてはならない。それが 現在のコミュニケーションであり それを通じて見えてくる人間の様相なのだ。
暗号は人間臭い。それがはっきりしたことが本書を読んで勉強になった点だ。
暗号がここまで歴史を左右していたとは・・・ 「フェルマーの最終定理」のサイモン・シンが暗号ものに挑むとなると読まずにはいられない。期待を上回る内容で再度この著者の力量に感嘆してしまいました。
暗号解読から古代文字の解読まで、途中途中に様々なエピソードを混ぜ合わせながら、暗号そのものの魅力と、その暗号にまつわる国家や組織人物を、余すことなく伝えてくれる。
面白いのは、暗号作成側と解読側のそれぞれの時代の攻防だ。きっと今現在も平和な暮らしの裏側で壮絶な暗号を巡るやり取りが行われているんだろうと思うと背筋がゾクゾクするようなワクワクするような・・・
暗号学の異色さはこの一文が如実に語っている
「プロの科学者の大半は誰よりも先に仕事を発表しようとする。なぜなら彼らの仕事は広められて初めて真価を発揮するからだ。それに対して暗号の研究は情報が漏れる可能性を、最小限にとどめてこそ最大限にその価値を発揮する。暗号に関する秘密が公開されるのは秘密にしてもこれ以上意味がないことが明らかになったときで、ただ歴史的正確さを期すためだけのものでしかない」
国家的なプロジェクトの暗号解読により、間接的に多くの犠牲を防いだ英雄的暗号解読者達は、ほとんどがその偉業を世間に知られることなく死んでいる。そんな知られざる偉人達に遅まきながらも拍手を送ることが出来る名作。面白い。
平易に歴史的流れに沿って、その上遙かにドラマテックに教えてくれる 邦訳リリースは2001年7月、文庫版は2007年7月。オリジナルは1999年である。非常に難解な暗号の歴史と技術をこれだけ噛み砕いて時系列的に配置した本はこれ以上にない、と言いきれるくらい傑作だ。そしてこの本を翻訳するというのは生半可な作業ではなかったろうな、と思った。
この本を読む前にまず、ブルース・シュナイアーの名著、『暗号の秘密とウソ』・『暗号技術大全』・『セキュリティはなぜやぶられたのか』の3冊を読み、ロス・アンダーソンの『情報セキュリティ技術大全』を読んでから取りかかった。しかしながらこの本はそういった専門書を遙かに平易に遙かに歴史的流れに沿って、その上遙かにドラマテックに読者に教えてくれた。たとえば良い例が、RSA暗号で使われている非対称暗号における公開鍵と秘密鍵の説明だった。シンはこう平易に説明している。
公開鍵→二つの素数aとbの積
秘密鍵→その積の元となった二つの素数
そしてその積の長さが充分に長ければ暗号強度は強い。
実に解りやすい説明だ。僕はこれ以上に解りやすい非対称暗号における公開鍵と秘密鍵の説明を見たことがない。
この例のような極めて冴えた説明が最後まで衰えない。有名なアリスとボブとイブも後半に登場するのだが(物理学においてアリスとボブの例えというのは通例になっているようだ)、この有名なキャラクタもシンの手にかかるとより一層見事な例示をしてくれる。超難解な量子力学においてですらだ。翻訳共々すばらしい作品で読み逃せない傑作だ。
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[ 文庫 ]
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暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)
・サイモン シン
【新潮社】
発売日: 2007-06
参考価格: 660 円(税込)
販売価格: 660 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 332円〜
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・サイモン シン ・Simon Singh
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カスタマー平均評価: 5
物足りないところもあるが 面白いです
もう少し掘り下げて欲しいところも若干ありますが
星が4なのは
ヒエログリフ解読について
教科書でもお馴染みのフランスのシャンポリオンがイギリスのヤングという物理から言語学まで幅広く研究好きな医者の発表した論文を基にヒエログリフを解読したと強く主張している点
情報通信が全く行き届いてないフランス革命直後の混乱期の大陸にいるシャンポリオンがイギリスで発表された論文に目を通す可能性は低く、また、読んだという証拠はない
しかし、シャンポリオンは解読に成功している
史実をちゃんと踏まえ主張して欲しい
その場に居合わせたかのような臨場感で読ませる暗号の歴史 歴史のさまざまな場面で決定的な役割を果たし、現代情報化社会の根幹を支えている暗号技術とその解読について、詳細かつ非常に分かりやすく書かれています。
内容の詳しい紹介は他のレビューに譲りますが、今まで関心のなかった事柄が一冊の本をきっかけに、二度と無関心ではいられなくなるそんな体験ができる一冊です。
現時点で無敵の公開鍵暗号を葬り去り情報化社会の根底を破壊しうる量子コンピュータと、原理的に解読不可能な量子暗号は、
私たちが生きている間に実用化されるのでしょうか、そしてその後の世界はどんな姿になるのでしょうか。
暗号の歴史はまさに現在進行形なのです。
暗号の善と悪 暗号解読(下)の白眉は 現代社会における暗号の善悪のせめぎあいを描いた部分だ。
ネットは完全に社会のインフラとなった。情報流通の「早さ」と「量」と「質」が飛躍的に進歩した現代において もはやネットが無いことは考えられない。もちろん 将来的にはネットが 発展解消的に新しいものに生れ変わるとは思うが 情報社会の高度化という 大きな流れにはなんら変わりはないはずだ。
その時代に「暗号」がいかに重要なものになったかを本書は描く。
暗号は戦争から始まった。戦争に不可欠な暗号が 僕らの日常のネット生活に不可欠になったということは とりもなおさず 僕らの日常が「戦場化」したことを意味している。
僕らが何気なく行っているネット上での「買い物」や「やりとり」が「戦場」で行われていることは 最近の各種の詐欺を見ていればわかる。
更に言うなら 各種テロもネット抜きには語れない時代だ。今目の前に見ている このPCこそが 戦場への「入口」といっても良いのかもしれない。
その時代に僕らは「暗号」で自分をプロテクトする。自分をプロテクト出来る点で暗号は「善」だ。但し 犯罪者が自分をプロテクトしつつ 犯罪を犯すとしたら 暗号は「悪」なのかもしれない。そうして この「善悪」に関しては 余りに色々な判断が可能なだけに 現段階では結論が出ていないということなのだと思う。
暗号はずいぶん遠いところまで来てしまったということだと思う。暗号の持つ人間臭さは 誰もがなんらかの形で「暗号」を使っているからだ。「交換日記」で符号を作った甘酸っぱい記憶がある方も多いのだと思う。
暗号という一つの「人間の所作」から見えてくるものの 驚くべき「深い淵」ということが本書の読み応えだ。
はっきりしていることは 僕らは既に恐ろしいくらいに「暗号」に依存しているということだ。
平易に歴史的流れに沿って、その上遙かにドラマテックに教えてくれる 邦訳リリースは2001年7月、文庫版は2007年7月。オリジナルは1999年である。非常に難解な暗号の歴史と技術をこれだけ噛み砕いて時系列的に配置した本はこれ以上にない、と言いきれるくらい傑作だ。そしてこの本を翻訳するというのは生半可な作業ではなかったろうな、と思った。
この本を読む前にまず、ブルース・シュナイアーの名著、『暗号の秘密とウソ』・『暗号技術大全』・『セキュリティはなぜやぶられたのか』の3冊を読み、ロス・アンダーソンの『情報セキュリティ技術大全』を読んでから取りかかった。しかしながらこの本はそういった専門書を遙かに平易に遙かに歴史的流れに沿って、その上遙かにドラマテックに読者に教えてくれた。たとえば良い例が、RSA暗号で使われている非対称暗号における公開鍵と秘密鍵の説明だった。シンはこう平易に説明している。
公開鍵→二つの素数aとbの積
秘密鍵→その積の元となった二つの素数
そしてその積の長さが充分に長ければ暗号強度は強い。
実に解りやすい説明だ。僕はこれ以上に解りやすい非対称暗号における公開鍵と秘密鍵の説明を見たことがない。
この例のような極めて冴えた説明が最後まで衰えない。有名なアリスとボブとイブも後半に登場するのだが(物理学においてアリスとボブの例えというのは通例になっているようだ)、この有名なキャラクタもシンの手にかかるとより一層見事な例示をしてくれる。超難解な量子力学においてですらだ。翻訳共々すばらしい作品で読み逃せない傑作だ。
暗号は歴史を読み解く鍵になる 歴史のあらゆる局面で、まさに鍵の役割を果たしてきた暗号。その基礎技術と、暗号を中心に繰り広げられてきたストーリーが一気に読める「暗号解読(上)」のつづき。
「失われた言葉」古代文字の解読から、現代の高速・大量データ通信に欠かせない現代の最新暗号技術(DES,AES,RSA)、そして、その安全性の根拠になっている基礎理論。さらに、現代暗号を打ち破る量子コンピュータの可能性と、その先を行く量子暗号の現状までが綴られる。
暗号をかける側は何としても読まれたくない。暗号を解く側はあらゆる手を駆使する。長い歴史の中で繰り広げられてきた高度な「知」のパズルは、それに関わった人たちを中心に、壮大なストーリーを残してきた。
「暗号解読(上/下)」を通して、暗号の歴史はもちろん、基本的な技術解説も非常にわかりやすくまとめられている。翻訳本とは思えない読みやすさもあり、すばらしい本でした。
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[ 単行本 ]
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暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで
・サイモン シン
【新潮社】
発売日: 2001-07-31
参考価格: 2,730 円(税込)
販売価格: 2,730 円(税込)
Amazonポイント: 27 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 900円〜
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・サイモン シン ・Simon Singh
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カスタマー平均評価: 4.5
暗号は知らないが、知りたい人へ 著者のサイモン・シンについて
「彼の書く物語には、ある抽象的な事柄について、非常に魅力的でありながら、且つそれを読み終えた読者に概念的・総合的な理解を植えつけるという稀有な性質が備わっている」
この「暗号解読」という作品は、暗号作成者と暗号解読者間の歴史を軸にしながら、暗号がどうして生まれ、数々の暗号がどのように作られ、またどのように破られてきたのかということを教えてくれる作品である。
http://hamhei.blog.shinobi.jp/Entry/19/
暗号をめぐるドラマ この人の本はどうしてこんなに読み応えがあるのだろうか。
「フェルマーの最終定理」に続いてつくづく感心してしまう。まず知的好奇心をそそるテーマの選び方がよい。ポーの黄金虫 (創元推理文庫 (542‐1))で有名な頻度分析あたりは楽々だが、RSA暗号や量子暗号まで来ると読んでいて脳が活性化してくる気がする。
暗号を作る側と解読する側の知恵比べには舌を巻くが、おもしろさの最大の秘密は訳者も述べているように、「人間の営みということにぴったりと焦点を合わせた」ことであろう。ホイットフィールド・ディフィーなんて最高!
うーん、イマイチ…… 評判が良いので読んでみましたが、イマイチでした。途中で挫折した。前作『フェルマーの最終定理』の方が出来が良いと思います。
シンが熱心に描いているのは暗号そのものの性質や問題よりも、それにまつわる人間ドラマの方です。いわば、暗号解読版「プロジェクトX」。暗号というのは、要するに複雑な関数を作って、その関数が他の人に分からないようにすることだという点では、昔から今に至るまで変わりはないので、読み進むにつれてどれも同じパターンのお話に思えてきて、飽きちゃいました。
人間ドラマは感動的だし、考えさせられるし、おもしろい。でもそれは、暗号作成や解読のおもしろさではない。暗号そのものについても説明されていますが、正直、物足りないです。古代文字を解読するということと、量子暗号を解読することは、果たして同じなのか、否か。言語によって出現する文字の頻度が異なるのはなぜか。そもそも、情報とは何なのか。そういったことをもっと掘り下げて欲しかったです。
読み物としてはおもしろい本ですが、やたらと評判が良いので、あえて辛口に採点して星2つ。
面白いです。 面白いので一気に読めます。
ごみ処理の問題と同じほど難しい暗号があるのを知りました。
ロゼッタストーンから量子暗号まで・・面白くてワクワク 「フェルマーの最終定理」のサイモン・シンさん、
暗号解読の歴史というドキュメンタリーのこの素材を、
ストーリーテラーとして本当に上手く料理されてます。
冒頭に、暗号の重要さを説明する例として、
16世紀後半のスコットランド女王メアリーの悲劇を紹介・・・
暗号が破らなければ助かるが、暗号が破られると死刑・・・という究極の状況。
副題通り、ロゼッタストーンのヒエログリフの解読から、
量子暗号の原理まで、読みごたえありました。
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[ 文庫 ]
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フェルマーの最終定理 (新潮文庫)
・サイモン シン
【新潮社】
発売日: 2006-05
参考価格: 820 円(税込)
販売価格: 820 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 347円〜
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・サイモン シン ・Simon Singh
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カスタマー平均評価: 5
読み止らなくなりました 読み始めると、ずっと引き込まれ途中でやめるのが惜しく思われるほどでした。
ここ数年の中でベストな1冊と言えるでしょう。
このストーリーが創作ではなく、事実に基づいているからこそ、その現実味があるのだと思います。
数学の入門書として最高だった!! 自分は数学の素人です。仕事で株式関連のために確率論を勉強している程度です。待ち合わせの待ち時間として、たまたま本書を購入しました。とにかく、ぐいぐいと魅了され、約4時間で読み終わりました。
(1)とにかく、翻訳がこなれています。ものすごい名訳です。
(2)素人の自分でも、フェルマーの最終定理の考え方が理解できました。もちろん、イメージ的にですが。数学者の苦労とか、そういうものも感じ取れます。
とにかく、ぜひお奨めしたいと思った著作です。特に、高校生にお奨めしたいと思います。
傑作 781円の文庫本にかくも大量の感動と興奮が含まれている。本書をテクストに数論の専門家が中高生を対象にしたセミナーでも開催すれば第二、第三のワイルズを目指す若者が誕生するかもしれない。それにしても欧米の科学ジャーナリズムの力量には脱帽である。青木氏の翻訳にも満点を贈呈したい。
文科系でも、引き込まれる数学の物語 本書により、この定理の証明手続において、日本人の予想、谷山=志村予想が決定的な意味を持っていたということを知り、日本人として非常にうれしく思った。二つの無関係とも思える数学の領域を繋ぐこの予想、それもフェルマーの最終定理とは独立した研究が最終的にフェルマーの定理の証明を導いたというのは何とおもしろいことか。それにしても、フェルマーの定理を楕円方程式に変換した(この表現は正しいか自信がないが)ドイツのゲルハルト・フライは、ワイルズの証明の生みの親として高く評価すべきではなかろうか。筆者は、文科系の語学好きであるが、高校で複素平面とベクトル、数列を学んで以来、数学の世界に惹かれるものを感じていたが、この本でより一層数学に魅了された。本書は数学史の本でもあり、数学に多少なりとも興味を持つ人にはお勧めである。
数学バンザイ フェルマーの最終定理が証明されてから早くも14年.いまさらとは思ったが文庫化されたのを契機にサイモン・シンの同書を読んだ.評判に違わない良書である.他のフェルマー定理を扱った著書と比較して際立った違いは,証明に成功したアンドリュー・ワイルズ本人や存命中の関係者へのインタビューに基づいて証明までの過程が再構成してある点で,ドキュメンタリーとして秀逸であった.
数学史の発展を理解するにはある程度の予備知識(高校数学程度)が必要であるが,数論を主要テーマに扱ったフェルマー関連の話題の方が,『ポアンカレ予想』を扱った著作の導入部(非ユークリッド幾何学)よりも素人には判りやすい.とは言っても,谷山=志村予想だの楕円方程式,モジュール形式などとなると数学音痴にはチンプンカンプンである.考えてみると我々の数学の知識(失礼!私の数学の知識)はピタゴラス,エウクレイデスのレベルにも達していないのだと痛感させられた.
素数問題やリーマン予想を含めて数論には未解決の証明が残されているが,谷山,志村,岩澤のように日本人研究者が独創的な仕事をして歴史に名を刻んで欲しいと願う.最終章の補遺(pp.463-484)に提示してある証明の項は,久しぶりに数学の面白さを味わえる内容であった.青木薫の翻訳は違和感なく受け入れられた.物理学者らしく「訳者あとがき」に記された数学への愛に溢れた記述に好感がもてた.
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[ 単行本 ]
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暗号解読パズル
・森田 基之 ・クリプトグラム研究会
【主婦の友社】
発売日: 2008-05
参考価格: 893 円(税込)
販売価格: 893 円(税込)
Amazonポイント: 8 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 316円〜
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・森田 基之 ・クリプトグラム研究会
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カスタマー平均評価: 0
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[ 文庫 ]
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宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)
・サイモン シン
【新潮社】
発売日: 2009-01-28
参考価格: 660 円(税込)
販売価格: 660 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 200円〜
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・サイモン シン ・Simon Singh
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カスタマー平均評価: 4
まるで目の前に現れてくるようだ ガリレオにせよ、アインシュタインにせよ、ハッブルにせよ、何を成し遂げたかに
ついては一通り知っているつもりでした。
また、これまで数多くの本に書き尽くされた人々でもあります。
だから本書のことを知っても、「今さらねぇ」という先入観があったのは確かです。
しかし、本書によって、それぞれの背景に横たわる物語に初めてふれ、一人の
人間としていきいきと描かれた姿に感動しました。
越えて良いのかどうか懊悩し、正しいのに越えられないという現実に苦悩し、ぎり
ぎりまで追いつめられて憔悴する。天才ではあるが決して超人ではない生身の
登場人物が、時を越えてありありと目の前に現れてくるようでした。
物語としてのスリリングさと、科学読み物としての正確さを併せ持つ、類い希な
本です。
今の自分をつくりしもの もし自分が中学生の頃に本書を読んでいたのなら,天文学者か物理学者を目指していたかもしれない。それは約30年前_もちろんその当時には本書は存在しないし,本書に書かれている出来事すら,まだ起きていないことも多いのだが。しかし本気でそう思ってしまうほどに,この本とは「出会ってしまった」。
「人間には炭素がある。よって宇宙のどこかで炭素がつくられてしかるべき」という「人間原理」のくだりを読んだとき,「人間原理」という知らないことを知った喜び以上に,「じゃあ私の一部はこの本でできてるなあ」と思った。
天文学に無知な私を,ここまで魅了させてくれた本書には心から感謝したい。
最後に,サイモン・シンはもちろんだが,青木薫氏も素晴らしい訳者だと思う。もちろん私は英語版を読んではいないが,科学的記述だけでなく詩や戯曲的なことまで,日本語で見事に表現されている。
ビッグバンを巡る人間ドラマ 上下巻込みの感想になりますが、正直、「ファルマーの最終定理」や「暗号解読」に比べるとスリリングさに欠ける内容だと思いました。
前著の題材に比べて「ビッグバン」は遥かにポピュラーであり、多くの読者は本書から新しい知的興奮が得られない分、物足りなさを感じざるを得ないのではないでしょうか。
また、宇宙論にこれから触れていこうとする若い読者にも、これ単発でお勧め出来る内容とは言い難いです。何しろ、最新の量子宇宙論の前で筆を止めていますし…
とはいえ、相変わらず人物の豊富なエピソードは健在で、特に「縁の下の力持ち」的な人や、論争・競争の敗者の方にもスポットを当てていて、楽しく読むことが出来ました。
この点は著者のこれまでの姿勢が貫かれていて、他の解説書の類には見られないとても大きな魅力です。
思わずニヤリとしたのは、本筋に関係のない軽いエピソードで「パルサー」の発見者としてジョスリン・ベルの名を2度挙げているのですが、その指導教授でノーベル賞をもらったヒューイッシュの方は「ヒ」の字も出していないことです(笑)。サイモン・シンもこのノーベル賞においてベルの功績が正当に評価されていないと不満があるのでしょうか;
知的好奇心を広げてくれる サイモンシンの本は知的好奇心を次々に広げてくれる。そのような体験を期待して購入通読
宇宙創造という深淵なテーマに対して、各時代の科学者がどのように取り組んでいって、どのような結論を出したのかを記載してくれている。中でも引き付けられたのは、パラダイムシフトと、アインシュタインという存在だ。特にパラダイムシフトと表現されている科学に対する思想の転換は非常に面白い。科学の価値が変わるようなパラダイムシフトに自分が生きている間に出会えるかどうか、出会った時に既存の価値観をどのように破壊してくれるのかが非常に楽しみだ。
期待通りの書籍でした。科学の歴史という無機質な世界をドラマチックに表現してくれている。
サイモン シンは自分が興味のないテーマの本を書かされたのでは? フェルマーの最終定理を読んでいたので期待したが、期待外れだった。
内容自体は悪くはないのだが、比喩が多すぎてストーリーの流れがそこでプッツリと切れ、白らけてしまった。
また各章の最後にその章の要約が載っているが、本書は教科書として書いたものなのだろうか?
興醒めた。
同時期に読んだ『僕らは星のかけら 原子をつくった魔法の炉を探して(マーカス・チャウン ) 』は驚くべき内容の本で、本書にもそれを期待して読んだのだが、期待は悪いほうに裏切られた。
本書を先に読んでいればよかった。
宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)
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[ 単行本 ]
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暗号解読
・ステル・パヴロー
【アスペクト】
発売日: 2005-10-27
参考価格: 3,675 円(税込)
販売価格: 3,675 円(税込)
Amazonポイント: 36 pt
( 通常6〜9日以内に発送 )
中古価格: 100円〜
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・ステル・パヴロー
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カスタマー平均評価: 4
確かに博学な人だ いまはやりの南極=アトランティス物ではあるが、ぐっとSFぽく書かれている。詰め込まれた博学ぶりには脱帽。どこまでがほんとでどこからが作り話か分からないほど。類似品の中ではダントツかと。読んでいて楽しめた。
でも南極=アトランティスは個人的には嫌いなので減点1.
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[ 単行本 ]
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ビッグバン宇宙論 (上)
・サイモン・シン
【新潮社】
発売日: 2006-06-22
参考価格: 1,680 円(税込)
販売価格: 1,680 円(税込)
Amazonポイント: 16 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 154円〜
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・サイモン・シン
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カスタマー平均評価: 4
理系大学生の必読書 私は電離圏プラズマを研究対象にしている研究者です。
本書に出てくるような宇宙物理現象は専門外なのですが、
学生時代から物理全般に興味があり、、
アインシュタインの相対性理論から始まるビックバン理論には特に興味がありました。
しかしながら所詮専門外。趣味程度にブルーバックス・シリーズなどを時折手に取り、
多少の薀蓄(うんちく)を得て満足していました。
大学教養の相対論の講義を、大学院生になってから受けに行ったりもしていました。
ただ、どうしても全体像がはっきりしません。
「この数式はどうして重要なのか?」、
「この理論は何に役立つのか?」、
といった疑問が残ったままです。
私が学生時代に感じていた、このような疑問は
最近の学生の理系離れに直結しているのではないでしょうか?
2008年に物理学でノーベル賞を受賞された小林誠先生が
「今の教科書には最低限のことしか書いてない。全体のストーリーが見えない」
とおっしゃっている通り、現代の理系教育の問題点の一つがそこにあったと思います。
例え数式の羅列でも、人間の作り出した学問としての物理や数学において、
たった一行の数式の中に多くの人間の歴史や、彼等の生きた時代の歴史が詰まっているのです。
現代の教科書にはない、ストーリーを著者サイモン・シンは完璧に伝えてくれます。
私が大学で物理を教えることがあるなら、本著を副読本とし、学生にレポートを書かせるでしょう。
読み切るのに一週間ほどかかりましたが、過去の読書とは比べ物にならないぐらい、多くのことを学ぶことができました。
人生を理解するための入門書 宇宙をどう解釈するかを極めて分かりやすく解説した宇宙論への入門書。「テクノロジーは生と死をより快適にするために役立ち、それに対して科学は、ひたすら世界を理解しようとする努力だ」との言葉どおり、最新技術やデータの羅列ではなく、人生を理解するための入門書でもある。
期待通りとはいかず。 「フェルマーの最終定理」「暗号解読」の面白さを期待して読んだが、前二作に比べて面白みに欠ける。おそらくストーリー性に欠け、全体的に説明調であるからだろう。所々に挿入される説明のための図や表が、読者をぐいぐい引っ張っていってくれるはずの文章を分断してしまう。サイモンシンがこの分野の専門だから、妥協できなかったのだろうか。細かいところに気をとられてしまう記述は、証明を巻末に付録にして、ドラマチックな展開をみせたフェルマーとは真逆の空気を感じる。宇宙論のポピュラーサイエンスの本を読んだ人はあえて読む必要はないだろう。サイモンシンを読んだことが無い人には、「フェルマーの最終定理」「暗号解読」から入ることを勧める。
上巻は悠々と宇宙論の歴史のレビュー 上巻を読んだところでレビューを書くのもなんですが・・・原書は一巻ものだし・・・レビューが上下巻別に出てくるので。
『フェルマーの最終定理』も『暗号解読』も面白かったので、見つけてすぐに購入。焦点は確かにビッグバン宇宙論なのだが、西洋の教養主義らしく、ギリシャ時代の宇宙認識から始まって、コペルニクス、ガリレオ、ニュートン、アインシュタインと、上巻は悠々と進んで、ハッブルが系外銀河のスペクトル赤方偏移を見いだすところまで。銀河の大きさを初めて類推したハーシェルは全恒星が同じ明るさとして概算した事(意外にも決して悪くない見積もりが得られている)セファイド変光星を用いた距離の見積もりの発見の経緯など、知らないことも沢山あって、楽しく読めた。
ただ、特殊相対論の紹介はちょっと賛成できなかった。特殊相対論は電磁気学の基本方程式であるマックスウェル方程式がガリレオ変換とコンパチブルでないことの解決として、運動方程式の方を変更する事で、電磁気学と力学の矛盾を解消したことに大きな意味があると、私は思っている。本書では電磁気学の話がまったく出てこなくて、エーテル否定の説明も、媒質(光の場合エーテル)の運動との関わりで極めて不十分なものになっている。特に、光速度一定の原理を、極めて天下りに与えているのが気になるところだ。この手の説明が世の中の「相対論は間違っている」本の出現を手助けしているのだから、もう少し工夫が必要だったと思う。
というところで、あとは下巻を読んでからにします。
一般読者向けの解説書としてお奨め ビッグバン宇宙という言葉は十分一般的になっているが、この現代用語を、専門家ではない一般読者にわかりやすく伝えるという点で、よく書かれた本だと思う。他のレビュアーも指摘しているが、シンの語り口はとても柔らかくわかり易い。ややページ数は多いが、長さを感じさせないほどソフトな本で、一気に読める。難解な専門用語がほとんど表に出てこない点がその理由だろう。
ビッグバン宇宙についての一般教養書として、第一にお奨めできる本だと思う。
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[ 文庫 ]
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宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)
・サイモン シン
【新潮社】
発売日: 2009-01-28
参考価格: 660 円(税込)
販売価格: 660 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 250円〜
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・サイモン シン ・Simon Singh
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カスタマー平均評価: 5
死屍累々とでも言うべきか 上巻で天動説から一挙に赤方偏位くらいまで行ってしまい、この先一体
どうなるのかなと思っていました。
下巻は「定常モデルかビッグバンモデルか」という議論を丹念に丹念に
辿り、とにかく丹念でした。
かつて、偉大なる科学的発見は、一人の偉大なる科学者によって達成さ
れましたが、今日では一人の業績に結実されるのは難しい。
陽が当たった人、当たらなかった人。出し抜いた人、出し抜かれた人。
無視された人、奇跡のように発掘された人。
まるで映画のエンドロールのようです。
それら「死屍累々」とでも言えそうな土台の上に、最先端理論が築かれ、
これからも築かれ続けることを予想させてくれる、充実した本でした。
宇宙の謎に迫る物理史です。 本書(上下巻)では、宇宙創成の謎に挑戦してきた人類史、科学史にスポットを当てる。古代ギリシャに始まった天文学。地球、月、太陽の大きさや距離を推定した古代天文学者に始まり、暗黒の中世での停滞を乗り越え、天動説を覆したコペルニクス、ガリレオ。初期地動説が生み出す誤差を解消する理論を打ち出したケプラー。ニュートン力学を超え、相対性理論を生み出したアインシュタイン。彼の生涯2つの誤りの一つである静的宇宙モデルを覆したビッグバン宇宙モデルの設立まで、事細かに解説する。
さすがサイモン・シンと思わせる見事な描写は、読むものを引き付けて離さない。本書で書かれていることは、すべて良く知られた事実であるにもかかわらず、それを一同に系統立てて説明する手法は流れるような心地よいリズムを生み出し、一気に読まずには入られない。すばらしい。
科学的なことを自分にひきつけて考えること。 本書のレビューに関しては上巻側で既に書いた通りだ。
天地創成 下巻の白眉は 実は 訳者あとがきではないかとひそかに思う。単行本段階のあとがきと 文庫になった際のあとがきと二つ載せているが どちらも 訳者の思い入れと 読者へのメッセージに満ちている。
特に後者の後書きで 訳者は「本書の真の主人公は 『科学的方法』だったのだ。シンは科学的方法をみんなに知ってほしかった」と喝破している。この「読み取り」は 僕にも実に腑に落ちるものがあった。実際 本書でシンが繰り返し描いているのは「科学的とはどういうものなのか」という 極めて哲学的でもある話である。
これは 別に 宇宙論だけではない。僕らの日常にも 十分通用する話だ。例えば セブンイレブンが唱える「仮説と検証」という言葉にも 「科学的」という響きが伴っている。
宇宙論の本で コンビニの話を持ち出すのも 下世話かもしれないが 僕らの日々で「科学的とは何か」を考えるには 下世話な自分にひきつけて考えない限り 意味をなさないことも確かなのだ。また それこそが著者の希望であろうし 訳者の期待なのではないかと僕は思う。
それにしても大変勉強になった。
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[ 単行本 ]
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フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
・サイモン シン
【新潮社】
発売日: 2000-01
参考価格: 2,415 円(税込)
販売価格: 2,415 円(税込)
Amazonポイント: 24 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 374円〜
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・サイモン シン ・Simon Singh
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カスタマー平均評価: 5
数学を嫌いになった私が、改めて数学を好きにさせてくれた一冊 公文式で計算ばかりが異様にできるようになっていた私が、中学時代に図形でつまづき、そのままずるずると高校時代も数学嫌いで通してきました。しかし、本書を読み、改めて数学の面白さを再認識させられました。
後半は、中高生には難しいかもしれませんが、両親や先生方の手助けがあれば前半部などは十分理解できる内容だと思います。私も、塾で勉強を教えていた際に、2人の生徒さんに買ってプレゼントしました。2人とも、楽しんで読んでいるようでしたので。
これぞ不朽の名作と呼ぶに相応しい 本書を読んだ者は、魔法のような文章を体験するだろう。そして驚き、感動し、楽しむことになるだろう。間違いなく凄い名著である。
魔性の[フェルマーの最終定理]もついに人類に屈した。20世紀も終わろうかという頃になって、ワイルズという一人の天才が、コツコツと25年間かけて証明に成功したのだ。実に素晴らしい。
ところで、私は、それがどんな証明なのか知りたくて仕方がなかった。
しかし、この証明が500ページを越える大論文で、しかも数学の最先端の知識がギュウギュウに詰まったものらしく、我々一般人はそのエッセンスを汲み取ることすら難しいという。
本書は、そのフェルマーの最終定理(最終予想だったが)を、ワイルズが証明するまで、またフェルマーの最終定理をめぐる歴史のお話や逸話、そしてワイルズの証明に寄与した多くの数学者の物語と、ワイルズがどのように証明をしたのかを、実に平易な文章で説いてくれるのだ。非常に難解な話題なのだが、中学1年生の数学をマスターしていればついていけるのだ。そしてワイルズの証明を、理解とまではいかなくとも、そのエッセンスを多いに汲み取り、味わい、気持ちを共有することができてしまうのだ。
まさにサイモン・シンの魔法である。
とにかく、なんといっても面白い。そして「訳者が訳しながら涙した」といわれる感動まで詰まっているのだ。信じがたいことに、これは誇張ではない。実をいうと私も読みながら涙をこぼしてしまった。
まさか数学の本を読んで、感動のあまり涙することになるとは思いもしなかった。
改めて主張する。これは凄い名著である。これほどの名著にはそうそう出会えないと思われる。ぜひ多くの人に読んでもらいたい。心からそう思える1冊だ。不朽の名作と呼ぶに相応しい。
数学はかくもドラマチックで美しい 日本語訳は2000年1月リリース。文庫化は2006年6月1日。1967年イギリス生まれの著者サイモン・シンは英BBCのプロデューサで、元々TV番組として1996年この作品の元を作成し、1997年この本で作家デビューしている。そういった経緯からかこの作品は非常に映像的で分かりやすい。
フランスの数学者ピエール・ド・フェルマー(1601年 - 1665年)には、ディオファントスの著作『算術』を読みながら本文中の記述に関連した着想を得ると、狭い余白であるために証明を省略した。この省略された証明に挑戦する数論数学者たちの物語だ。しかし物語はそこから始まらず、フェルマーの最終定理の基となっているピタゴラスの定理からスタートする。そして、
1.フェルマー予想が偽である(フェルマー方程式が整数解をもつ)と仮定する。
2.この整数解からは、モジュラーでない楕円曲線を作ることができる。
3.谷山・志村予想が正しいならば、モジュラーでない楕円曲線は存在しない。
4.矛盾が導かれたので、当初の仮定が誤っていることとなる。
5.したがって、フェルマー予想は真である。(背理法)
に到達するまでの間、どれほどの人たちがこの問題に関わっていたが、実にドラマチックに描かれている。最後にアンドリュー・ワイルズが解読した1993年6月23日以降のミスを再度証明し直す部分が最も感動的だ。翻訳も文庫版では以降の発見事実も付加され完璧と言える。最高のドキュメンタリー作品だ。
面白いです。 数学者になればよかったと思うほど面白いです。
ごみ処理の問題と同じくらい難しい問題がたくさんあることを知りました。
文学書としても香り高き逸品 語り尽くされた感はあるが、自分なりに本書の感動の源泉を抽出してみると、こうなる。
1) フェルマーの最終定理という、問題そのものは判りやすいが、解決に至るまで、広く深い数学的問題に根を広げている難問を、自分のような素人にでも「判ったような気にさせる」ことができる、その記述スタイルと構成。実際、本書読了後、フェルマーの最終定理についてはなにもかも熟知してしまったかのような気分になるが、実際、ワイルズの証明を目にしたら、卒倒してしまうだろう。つまり、異次元の仮想の読書世界に、読者を誘ってくれる魅力。
2) とりあげたテーマが良かった。他にも数学の未解決の難問はいくらでもあろうが、本書を読むと、たった一つの数学上の問題を証明するために、300年を超える歳月をかけ、様々な国の様々な人間が少しずつ貢献する。そして、ある一つの偉大な達成をする。現在、これほどまでに多くの人間が、人種や国籍や主義主張、宗教の違いなどを超えて、たった一つの目的に向け、邁進することができるであろうか? 身近なところでも、たとえば、地球温暖化問題という、これからの人類の未来を大きく左右するかもしれない課題でも、いまだに、さまざなレベルで異論が渦巻いていて、情けない限りである。原水爆の全面禁止とか、貧富格差の是正とか、とにかく、フェルマーの最終定理の解明よりも簡単だと思われるにも関わらず、解決の端緒も見えない問題があまりに多すぎる。そういった中で、様々な先人の業績に上に証明を完成させたワイルズまでの永い道程は、感動を覚えずにはいられないのである。
3) 谷山豊を、ガロアなどと同列の、「夭折した若き天才詩人」的数学者として描写していること。許嫁の後追い自殺に言及する下りも、決して、通俗ロマンに堕していない。それどころか、第5章冒頭、盟友・志村五郎との本の貸し借りを巡る出会いの下りは、東大仏文科における、小林秀雄と今日出海との出会いを連想させる、きわめて文学的な情景だ。手柄争いにまつわる、アンドレ・ヴェイユの問題に関し、ほとんど一刷毛で終わっているところも、良い。(ここら辺が、アミール・アクゼルとの大きな違い)
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