科学・テクノロジー書籍店

　ベッセマーの自伝も中澤氏らによって、本書の出版された10年後に、サー・ヘンリー・ベッセマー『ベッセマー自叙伝−20世紀文明基礎を築いた発明家』中澤護人・田川哲哉訳，日鉄技術情報センター，1999年、として刊行されている。
ベッセマー法とは、鋼鉄を作るための技術。酸素を銑鉄に吹き込むことによって、燃料を使わずに、大量の鋼鉄を作ることが出来る。ベッセマー法の開発によって鉄道や船舶が発展を遂げたのであり、現代文明の基礎を築いた発明のひとつと言えるだろう。
　本書はきわめて明確・平易に書かれており、自伝そのものよりも遙かに読みやすい。
鋼がどの様にして生まれたか
物事が複雑になるにつれ、その本質が分からなくなる事が良くあります。鉄鋼に関しても同様で､様々な鋼種が考案されている一方､その基本的なところが忘れられているような気がします。

そもそも鋼がどの様な背景で生み出されたもので､どの様な思考の元に考案されたかなど、幾つかの教科書を紐解いてみても記述されていません。本書は､その発展に重大な影響を及ぼしたベッセマ−の人生を振り返るとともに、その点を詳細に記述しています。